アングロマニア(ANGLOMANIA)

1993 – 1999

ヴィヴィアン・ウエストウッドは、ファッションとは、フランスとイギリス間でのアイデアの交流であると信じています。
「イギリスは、テーラード技術と親しみやすい魅力を持ち、一方フランスは、堅実なデザインと常に前向きな可能性を秘めた洗練さとの微妙なバランスがあると思います。」

コレクション:

Grand Hotel (グランド・ホテル), SS 1993

Anglomania(アングロマニア), AW 1993-94
- 画家であるトマス・ゲインズバラが活動していた18世紀にフランスで起きた、イギリスのテーラリングと自然に
溢れ出るこの国の魅力に対してのブームにインスパイア
- ヴィヴィアン・ウエストウッドは、ファッションとは、フランス、イギリス間でのアイデアの交流によって生まれるものであると信じています。
「イギリスは、テーラード技術と親しみやすい魅力を持ち、一方フランスは、堅実なデザインと常に前向きな可能性を秘めた洗練さとの微妙なバランスがあると思います。」

Café Society (カフェ・ソサエティ), SS 1994
-パッドで強調されたバストなど身体の線を誇張するシルエットを表現
-アンドレアス・クロンターラーとコラボレートすることにより、ガウンのボリューム感とそのトレーンが大胆で壮大なイメージを作り上げ、Café Societyが生まれました

On Liberty (オン・リバティ), AW 1994-95

Erotic Zones (エロティック・ゾーンズ), SS 1995

Vive la Cocotte (ヴィーヴ・ラ・ココット), AW 1995-96
-今コレクションで、全く新しいシルエットに辿り着きました。身体のラインを誇張することを極限まで追及し、
パッド入りのバスト、バッスル・クッションに代えて軽いメタルケージを留めています
-非常に高いプラットフォーム
-キャットウォーク用と、それほど極端な高さではないセールス用も用意

Les Femmes ne connaissent pas toute leur coquetterie
(レ・ファム・ヌ・コネッス・パ・トット・ルール・コケットリ),SS 1996

Storm in a Teacup (ストーム・イン・ア・ティーカップ), AW 1996-97

Vive la Bagatelle (ヴィーヴ・ラ・バガテール), SS 1997

Five Centuries Ago (ファイブ・センチュリーズ・アゴー), AW 1997-98
-インスピレーション:チューダー朝
-ヴィヴィアンは、歴史的な衣服を現代の女性のために発展させると、全てがディオールに行き着いてしまうことを知り驚きました。彼女はディオールの二番煎じになることは避けなければいけなかったのです。

Tied to the Mast (タイド・トゥ・ザ・マスト), SS 1998

Dressed to Scale (ドレスド・トゥ・スケール), AW 1998-99

La Belle Helene (ラ・ベル・エレーヌ), SS 1999

快楽主義の時代(THE PAGAN YEARS)

1988 – 1992

この時期、ヴィヴィアンにとってのヒーローは、パンクファッションやぼろの身なりをした若者から、雑誌「タトラー」に載っているような、ちょっと生意気で、上流階級の英国スタイルを皮肉った服を着た女の子へと移ります。この思いがけない巡り会いは、もっとも重要で影響のあった、ハリス・ツイード・コレクション(1987年発表)のインスピレーションとなりました。 「このコレクションのアイデアは、ある日、地下鉄で見かけた少女から参考にしたものです。彼女は、せいぜい14歳くらい、髪を編んで一つに丸めて結い、ハリス・ツイードのジャケットを着て、バレエシューズを入れたバッグを下げていました。とてもかっこよく、毅然とした様子でそこに立っていたのです。」

コレクション:

Harris Tweed (ハリス・ツイード), AW 1987 – 88
- ロイヤルファミリーからインスパイアされた、テーラードや子供のようなルック
- インスピレーション:イギリスの生地。特にイギリス王朝のユニフォームに使われていたウール素材

黒のベルベット- 18世紀に使われたコルセット
- 今ではファッションアイテムとして確立されている上質なツインセット

Pagan I (ペイガン I ), SS 1988

Time Machine (タイムマシン), AW 1988-89

Civilizade (シヴィライゼイド), SS 1989

Voyage to Cythera (ヴォヤージ・トゥ・キティラ), AW 1989-90
- インスピレーション:ワトーの絵、イタリアの仮面劇「コメディア・デラルタ」、ロシアのバレエ団「バレエ・リュス」
- スカートを穿かずにタイツのみのスタイル
- インスピレーション:パンツを穿くのを忘れた男性

Pagan V (ペイガン II ), SS1990

Portrait (ポートレイト), AW 1990-91
- インスピレーション:油絵-物質的な豊かさにおける、質感と展示の華麗さ
- リネンのアンダーウエアからファーまですべての素材でラグジュアリーさを求めたコレクション
- ウォレス・コレクションから、家具デザイナー、アンドレ・シャルル・ブールが製作した家具
- ブーシェによる絵画「ダフニスとクロエ」を写真撮影してプリント
- 台座に乗っているかのような背の高いプラットフォーム・シューズを履いた女性は、まるで絵の中から飛び出したよう

Cut and Slash (カット・アンド・スラッシュ), SS 1991
- 深い切り込みが入った素材 – サテン、コットン、デニム
- インスピレーション:16世紀に起こり、その後200年続いた戦争からインスパイアされた、切込みがあり穴の
開いた素材に対してのこだわり 

Dressing Up (ドレッシング・アップ), AW 1992-93

Salon (サロン), SS 1992

Always on Camera (オールウェイズ・オン・カメラ), AW 1992-93

初期(THE EAELY YEARS)

1981-1987

1981年に発表された「パイレーツコレクション」は、ヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンにとって初のキャットウォークショーとなりました。彼らが提案したロマンティックなルックは、ロンドンのファッションシーンに 突如として現れ、このコレクションの地位を確立したものでした。

コレクション:

我々は、今までは重要な革新を記すために立ち止まっていただけでしたが、そのアイデアはコレクションを通して独自の方法で形になり、進化をするのです。

Pirate (パイレーツ), AW 1981-82, 初のキャットウォークショー
- 略奪の歴史と第3世界
- 歴史的に価値があるドレスの研究、オリジナルのカッティングをファッションとして昇華
- インスピレーション源は、ネイティブアメリカンやエスニックなカッティングから
- パイレーツトラウザーは、ヒッピーのようなタイトなヒップハングパンツとは対極にあたるバギーなヒップスタイルが特徴
- ネックホールの位置 – 着用した際、アシンメトリックになるデザイン
- ヴィヴィアンのキャリアにとって重要なこの時期に、彼女は長方形を基本としたエスニックなカッティング技術を生み出しました。彼女は、このスタイルが機能することをわかっていたのです。まず、大雑把に小さなサイズで制作し、それを小さいダミーに着せました。そして、幾度にも渡る調整とフィッティングを繰り返し、ついに実際の素材で正規サイズのアイテムを制作することができました。洋服は、常に身体に力強さを与えます。そして彼女は、この後、洋服の持つダイナミックさと歴史的なカッティングを融合し続けるのです。

Savage (サヴェージ), SS 1982

Buffalo Girls (Nostalgia of Mud) (ノスタルジア・オブ・マッド), AW 1982-83
- カラー: 茶色(泥色)
- カッティングされた生シープスキン
- ブラジャー – アウターとしてアンダーウエアを着用
- インスピレーション:ボーラーハットとフルレングスのスカートを着用したペルー人の女性が、赤ん坊を背中に
くくりつけながら踊るシーン
- マルコム・マクラーレンとのコラボレーションが終了

Punkature(パンカチュア), SS 1983
- インスピレーション:映画「ブレードランナー」(1982)、砂漠の風景
- アンティーク調の生地とリサイクルされたガラクタ

Witches (ウィッチズ), AW 1983-84
- ニューヨークへ行き、キース・ヘリングに出会う。彼のアート作品は、魔法の記号や象形文字のようだったため、
コレクションのテーマが「ウィッチズ(魔法使い)」となりました
- ヒップホップの要素、ストップモーション効果を出したショー演出、3枚のシュータンがついた白いスニーカー、チコハット

Hypnos (ヒュプノス), SS 1984
- イメージ:睡眠のギリシャ神
- 実際は、とてもアクティブかつスポーティでヒップなコレクション

Clint Eastwood (クリント・イーストウッド), AW 1984-85
- ヴィヴィアン・ウエストウッドは、「時々、自分のアイデアを架空の世界へ移して、そこを最高の格好をした人々で埋めてみたくなる。」と語っています
- 蛍光色の鮮やかなビッグシルエットのレインコートとボディストッキング、企業のロゴや東京のネオンに
アイデアを得たデイグローのパッチで覆われた洋服

Mini-Crini (ミニ‐クリニ), SS 1985
- 方向性の変化を示すコレクション。身体にフィットする洋服。英国のテーラリング。女王の幼少時代から
インスピレーションを得た王女のようなシルエットのコート
- 1980年代のマスキュリンで大きく張った肩ラインに反抗
- ヒップに目がいくような、セクシーで曲線美を持つモデルの起用
- バレエの「ペトルーシュカ」からインスピレーションを得た”ミニクリニ”コレクション
- ロッキンホース・シューズの登場

キングスロード 430番地

1971-1980

1960年代後半のロンドンは、いまだヒッピーがトレンドの中心でしたが、ヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンにとっては、インスピレーションソースになりえませんでした。彼らは、反抗的な事柄、特に1950年代の洋服や音楽、記憶に残っている事柄に着目しました。ヴィヴィアンは、マルコム・マクラーレンのために、テディボーイスタイルの洋服を作り、そして1971年に、ロンドン・キングスロードの430番地に「Let It Rock(レット・イット・ロック)」と名付けたショップをオープンしました。

1972年、デザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドの興味は、バイカーのスタイルやジップ、レザーへと移りました。それに伴い、ショップがスカルマークとともに生まれ変わり、名前も「Too Fast to Live, Too Young to Die(トゥーファストトゥリブ・トゥーヤングトゥダイ ‐ 生きるには早すぎ、死ぬには若すぎる)」へと、その名を変えました。ヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンは、公然わいせつ法に触れた、実際に行動を起こさせるような挑発的なメッセージが書いてあるTシャツのデザインを始めました。1974年には、「SEX」というショップ名に変更し、“オフィス向けのラバーウエア”というスローガンとともに当時のイギリスでは唯一無二のショップを作り上げました。

1976年、マルコム・マクラーレンによって作られたセックス・ピストルズの楽曲、「God Save the Queen」がチャートでNo. 1になり、同時にBBC放送がその曲の放送を拒否しました。ショップは、「Seditionaries(セディショナリーズ)」と再び名を変え、巷ではフェティシズムの対象として隠微な存在であったストラップやジッパーをファッションへと昇華させました。メディアは、これを「パンクロック」と呼びました。その後、ヴィヴィアンは、セックス・ピストルズの崩壊とパンクムーブメントがトレンドの主流へ吸収されたことにより、このカルチャーに対し、興味を失っていきました。1980年には、再びショップを改築し、「Worlds End (ワールズエンド)」と名を変え、その名を現在に至るまで、キングスロードのショップ名としています。